過去ログ - 「お前はドライブが嫌いだったよな」
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38: ◆nlCx7YJs2Q[saga]
2015/02/20(金) 00:28:10.12 ID:OHZk4XxVo
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「お前はドライブが嫌いだったよな」
山間を一人で走らせる車の中にあって、当然応えるものはいない。
「俺は冬のドライブって結構好きだ」
山頂にあっては電波も通らなかったせいか、不通だったラジオがノイズと共に復活しつつあった。
そんなこととは関係なく、もはや壊れ、再起不能なラジオのように独り言を言い続ける俺はなんとも滑稽だと思う。
「お前はいっつもコタツに引きこもりだった」
スピーカーから聴こえるラジオDJの陽気な声はリスナーからの便りの基、栓の無い話を延々続けていた。
間もなくリクエストコーナーである、少しはマシになるだろう。
「でもな……俺は、お前とのドライブが好きだったよ」
助手席には彼女はいない。彼女が眠っていた箱も、俺の言い訳の為に妄想したその亡霊も。
白く、小さく、それでもどこか荘厳な威容を持った壷の入った箱があるだけだった。
「……もう、腕に重みは感じないけどな」
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