過去ログ - 【艦これSS】提督「壊れた艦娘と過ごす日々」08【安価】
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827: ◆oeBS4v7bwY[saga sage]
2015/03/03(火) 23:05:18.18 ID:vn60ncIKo

 マリネとスープパスタ、そしてデザートを食べ終わり。

 洗い物をして、お茶を一杯飲み終えて、十分ほど休んでもなお。

 微妙な表情をしたまま、睦月がむぐむぐと口を動かしていた。

提督「まだ駄目か」

 こくりと睦月が頷く。

 やや眉を顰め、時折笑窪を作るように頬にきゅうと力を入れる。

 奥歯に物が挟まったような、という比喩表現を実際に体現しているのを見ると、確かになんとも言えない表情だ。

提督「……すまない」

睦月「いえ、良いんですけど。……とれない」

 言うまでもなく、睦月の微妙な表情の原因は、俺の作った菓子である。

睦月「端的に、簡潔に言って、硬かったです」

 牛乳と小豆の羊羹。

 どうやら寒天が多かったらしい。そのせいで火にかけたさいに溶けきらなかったようだ。

睦月「あと、多分ですけど、沸騰してすぐ火を止めたんじゃないですか?」

提督「駄目なのか」

睦月「出来れば、沸騰してからももう一、二分煮立てたほうが良かったです」

 今回のように量を多くしてしまったのなら尚更だ。

睦月「最初びっくりしました。歯が中々入らなくて、滅茶苦茶硬いキャラメルでも齧ったのかと思いましたよ」

提督「そんなに硬かったか」

睦月「虫歯があったら速攻で抜けてましたね」

 正直に言うと、包丁で切り分けた時点で既に俺と睦月の間に、微妙な空気は流れていた。

 素直に包丁が入らずに一度止まった瞬間、二人して目を合わせたのだから。

 目に見えた地雷を踏みに行った様なものだ。

睦月「提督が作ったのでなかったら食べてませんでしたよ」

提督「いや、その。……、すまない」

 同じ謝りの繰り返しではあるが、そう言う他にない。

睦月「抹茶の夏氷も、味が殆んどありませんでしたね。薄めすぎたカルピスみたいな感じでした」

 感じと言うか、文字通りそのままである。

提督「牛乳を少し多めに入れてしまったから、水をかさ増ししたんだが。それがダメだったみたいだ」

睦月「それするなら、抹茶と砂糖も足さないと意味ないのですよ」

睦月「……、……。むわぁん、歯に詰まって取れない!」

 寒天か小豆か抹茶か、分からないが睦月がそう言って隣で頭を振る。

 頭を振ったって、歯に詰まったものが取れるわけではないのだが、睦月とて本当にその為にそうしているわけではないだろう。

提督「歯を磨いてきたら良い」

睦月「そうしまぁす」




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