過去ログ - 【艦これSS】提督「壊れた艦娘と過ごす日々」08【安価】
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872: ◆oeBS4v7bwY[saga sage]
2015/03/04(水) 01:20:35.09 ID:Fsi/XqZ2o

睦月「ちょっとだけ。ちょーっとだけ、妬いちゃいますけど。でも、そうしてあげてください」

提督「……、ああ」

睦月「……えへ」

 照れくさそうに睦月が、元より赤い頬を更に染めた。

 笑う度に、顔を綻ばせる度に、甘い香りが落ちてくる。

 そして俺の心から落ちる雫。

 睦月の香り、心の雫。それが混ざって、ろ過するように過去に一滴ずつ落ちていく。

 それが何だか、不思議な感じがして。

提督「睦月」

睦月「はい」

提督「……ありがとう」

睦月「……っ」

 ふっ、と。何かが軽くなった様な気がした。

 それが何かは最初分からずに、ついで目をやや開いた睦月の表情が変わる。

 唇だけ笑おうと動かしながら、大きな瞳から零れる涙。

 そして、雨の降り始めのように落ちた涙を見て。

 そこでようやく、自分が今、笑った事に気がついた。

 そう思ったときには恐らくもう自分は笑い止んでいた、だろう。

 睦月の手に合わせた手とは反対の手で、自分の顔を触る。

 そうしたところで、自分が笑ったかどうかなど分からないのに。

提督「俺は、今」

睦月「は、い」

提督「え、っと。笑った?」

睦月「はい……!」

 何度も頷く睦月。そうするたびに零れる涙が落ちる。

 俺の顔を濡らすそれを、まったく不快だとは思わず、拭う事さえせずに睦月の頬に触れた。

 涙の跡でひんやりと冷たく、その後に伝わる暖かさ。

 その暖かさにまた過去を見て、少し胸が痛んだけれど。

 親指で軽く睦月の目元を拭う。




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