過去ログ - 「彼女の全身が石英で出来ていた事」
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3:[sage]
2015/02/20(金) 00:02:27.42 ID:EfW8IvJ/0
怒ると彼女は縞模様の虹色になる。これを衝撃石英と呼ぶ。
隕石衝突の際の激しい衝撃圧力下で、あまり高温でない状態で石英の結晶構造は変形し、偏光顕微鏡下では徴的な縞模様が観察される。
一度しか見たことはなかった。
怒った姿さえも彼女は綺麗で、しかしその不安定な虹色は見るほど胸中を掻き乱す。
彼女の瞳は瑪瑙(メノウ)である。瑪瑙は石英の粒が緻密に詰まり、層状に沈殿してできる。
メノウは形状や模様に応じて様々に分類されるが、彼女の持つ美しい同心円は何物に属するでもなく孤高であった。
彼女はじゃあと自分で玉髄に名前をつけた。
俺の名前だった。
嬉しくて照れくさい。
子どもが出来ない代わりに、と笑いながら寂しそうだった。
石英である彼女には俺の子を宿す能力はない。
子どもなんかいらないからずっと俺と過ごしてほしい。
幸せにするからというと、彼女は手を強く握って、これ以上の幸せがありますかと涙声。
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