18:名無しNIPPER[saga]
2015/02/20(金) 02:50:08.32 ID:YN4vLNeW0
「お姉ちゃん!!!!」
彼女は私の姿を見て、明らかに動揺していた。
ここは東京の個人戦の会場内。
まさか方向音痴な私がここまでやってくるとは思わなかっただろう。
彼女からすると不意打ち。予想もしない邂逅だったのかもしれない。
「あの時の返事、聞きに来たよ」
久しぶりに手が届く距離にいる彼女。
昔の私ならば有無を言わさず走って抱きついていただろう。
そうしなかったのは、私が多少子供から大人になったからか。
「私のこと、嫌いになったの?」
彼女はその場で何も言わず、ただ立ち尽くす。
「私はお姉ちゃんのこと、今でも大好き。私のこと、好きじゃなかったの?」
「好きじゃなかったのに、流されてあんな事したの?」
「ねぇ、そうやってまた何も言わずに逃げるの?」
「…………」
無言のまま、彼女はまた私に向けて背を向ける。
…またそうやって、無言のまま私の元から去るのか。
溜まっていた感情が、全く反応してくれない彼女に対して爆発した。
やっぱり、私は彼女の前では子供のままだった。
「私じゃダメだったの?」
「もう好きじゃないの?」
「二度と会えないの?」
「何も言わないの?」
「もう、何処にも行かないで!」
「一人にしないで!!」
それでも、彼女は終始無言を貫いた。
そして、やはり何事も私に残さずその場を立ち去ろうとした。
「ず、ずるいよお姉ちゃん…!!」
「口付けて、愛し方を教えてくれたのなら…」
「忘れ方も、教えてよ…!」
私は、その場でまた涙を流し、彼女に聞こえるように叫んだ。
泣くことでしか、叫ぶことでしか。この感情は壊せないから。
「お姉ちゃんなんて…大っ嫌い!!!!!!!!!」
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