36:名無しNIPPER[saga]
2015/02/20(金) 03:31:25.84 ID:YN4vLNeW0
「お姉ちゃん!!!!」
私は明らかに動揺していた。
ここは東京の個人戦の会場内。
まさか私を遥かに凌ぐ方向音痴な咲がここまでやってくるとは夢にも思わない。
そこに、最愛の人は。
最悪の別れをしたのにも関わらず、そこに咲はいた。
不意打ち。ドラを切らないと見図った相手がドラを切ってリーチし、当たり牌を掴まされるのと同じくらいの。
人は、想いを越えてくる。
「あの時の返事、聞きに来たよ」
久しぶりに手が届く距離にいる彼女。
昔の私ならば有無を言わさず走って抱きついていただろう。
そうしなかったのは、私が多少子供から大人になったからか。
「私のこと、嫌いになったの?」
私はその場で何も言わず、ただ立ち尽くす。
ここで全てを明かすのは簡単だ。
だが、結局咲がここに来たのは私への依存を捨てきれていないということ。
だから、ここで種明かしをしては私がわざわざ咲の元から離れた意味がない。
「私はお姉ちゃんのこと、今でも大好き。私のこと、好きじゃなかったの?」
「好きじゃなかったのに、流されてあんな事したの?」
「ねぇ、そうやってまた何も言わずに逃げるの?」
「…………」
無言のまま、私はまた彼女に向けて背を向ける。
そうしないと、私の咲への感情が爆発してしまうから。
今すぐ抱きついてその唇を塞ぎたい。
今すぐ衣服を剥がして、咲は私のものだという証をその体に刻みたい。
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