7:名無しNIPPER[saga]
2015/02/22(日) 07:28:16.41 ID:eYt1sT3M0
  
 「あなたは何も悪くないのにね」 
  
  
  キャップをしめて、ハイエースのライトを撫でました。手にすすがついたけど、かまわず撫でさすります。泣く子をあやす様にです。 
  
  
  人の脳は三つの点を顔と認識する。その説はまったく正しいらしく、現に私はハイエースに人間を重ねていました。 
  
  
  気が優しくて力持ち。大きな身体に相応しく、器量が広くておおらかな性格。……でも、皆に嫌われている。私にとってハイエースとは、そんな人格でした。 
  
  
  人間の都合で使いつぶされるのが道具の本懐であるのなら、ハイエースは文句ひとつ言うことなく売り飛ばされるでしょう。光の灯らない無言のライトは、そんな寡黙さで私の哀れみに返事をしました。 
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