17:名無しNIPPER[saga]
2015/02/23(月) 15:29:12.03 ID:zW0LuoBg0
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さっきの大きくて綺麗なビルと比べて、ここは小さくそして小汚い。
確かそう、最上階は五階までだったはず。
昔はまだ動いていたエレベーターももう動いてはいない、ランプさえ点灯してはいない。
三年前まで、私と彼はこのビルの四階の小さな事務所で働いていた。
今はもう無くなってしまった芸能プロダクション。
彼はプロデューサーで、私は……アイドル。自分でも信じられん。
たった二年間の活動だったけれど、沢山の思い出がそこにはある。
ひっそりと生きていた私を彼が見つけてくれて、キラキラさせてくれた。大切な場所。
「綺麗に残ってるもんだな、今のご時世、すぐ取り壊しになるか誰か他の会社が使うかしてると思ったけど」
「……これ、事務所、入れない?」
入れないんだろうな。そんなことは分かっている。
エレベーターの前でただ二人佇んでいることがさみしくなって、私は下を俯いた。
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