26:名無しNIPPER[saga]
2015/02/23(月) 15:49:32.29 ID:zW0LuoBg0
今更になって後悔する。何で私はここに来たいなんて思ってしまったんだろうか。
何もかもが終わってしまったこの場所に。
ここにはもう、なくしたものしかなかったはずなのに。
彼が椅子から立ち上がる。ぎゅっと力強く掴んでいたつもりだったのに、彼の服の裾が私の手から離れてしまう。
少しでも離れてしまうことがいやで、すぐにでもまた彼の側に行きたかったけれど、体は縮こまってしまってこの机の下から出ることが出来ない。
なんだか息をすることすら、難しい。
「輝子、出てこい」
子供に優しく言い聞かせるように彼は言う。
それでも私の体はやっぱり動かない、ここから出ようとはしない、ピクリとも反応してくれない。
彼がゆっくり息を吐く、それは溜息のようにも深呼吸のようにも聞こえた。
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