4:名無しNIPPER[saga]
2015/02/22(日) 23:22:45.38 ID:Kw3uxajN0
「あら、こんにちは」
再び外に出ようと後ろを振り向いたら、声をかけられてしまった。
慌ててまた体を彼女の方へ向ける。くるくると半回転、半回転。なんだか昔のダンスレッスンのことを思い出す。
私はあまり得意じゃなかったな。
彼女は私の方を見ながら微笑んでいて。
私は「コンニチハ」とオウム返しのように言葉を機械的に発する……語尾が高くなってしまった……い、未だに挨拶は慣れん。
「あ、あの、えと……あれです……」
「Pさんなら今、少し出かけていますよ、もうすぐ帰ってくると思いますが」
どうぞ、それまでこちらに座って待っててください。
彼女は手のひらを上にして遠くのソファーを指し示した。
それはとても柔らかそうで、きっといいものなんだろうな、あれ、ちょっと座ってみたい、けど。
「い、いいです……それなら、ま、また、後でくる……きます」
彼女は知らない人じゃない。ここに来る時には何度か会って話だってしたこともある。
でも、私がうまく喋れないせいで彼女との会話は一方的なものだったし、特別親しい人というわけでもなかった。
なのに私がここにいると相手は気まずいかもしれない、というか何より仕事中だ。私が一緒の空間にいるのは迷惑になるだろ。
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