14: ◆8HmEy52dzA[saga]
2015/02/25(水) 20:55:59.00 ID:DLa1I0Qh0
005
「――――――――」
冷たい椅子の上で目が覚める。
周囲には多くの窓が宙に浮いており、そこには全部、わたしの姿が映っていた。
また、ダメだった。
今まではずっと何の障害もなく上手く行っていた……いや、上手くは行ってない?
『繰り返し』を始めてからすぐ、毎回、必ず邪魔が入るようになった。
影縫余弦と斧乃木余接。
彼女たちは、何者なんだろう。どうやら阿良々木さんの知己のようだけど、何が目的なのか、しつこく毎度わたしの前に現れる。
彼女たちの目的はわからないけれど、何度殺されようと、わたしは諦めない。
ここはわたしの理想の世界。
ここでは食事をする必要もないどころか、睡眠も呼吸すらも必要ない。
ゲームの登場人物の体調により行動が制限されるゲームは多々あるけれど、あまりにもリアルに再現したところで、行き着く先は面倒の一言に尽きる。
いつかのリアルタイムで成長する某携帯遊戯機の揶揄じゃないけど、四六時中関わることを強制するゲームはいつしか娯楽としてではなく、義務へと意義を変換する。
誰に命令された訳でもなく、何か明確な報酬がある訳でもないのにやらなければならない、という妙な強制力に支配されてしまう。
ゲームをやったことのない人にとってはそんな馬鹿な、と思うかも知れないけれど、実際に世の中には廃人と呼ばれる、ゲームを日常とする人種が存在する。
彼らの大半は何かを引き換えにそうしているのだと思う。
それは貯めた金銭だったり、または信用や人生といった購入出来ないものなのかも。
毎日、一日の半分以上をゲームに費やすとも聞くのだから、それ相応の対価が必要となるのは火を見るよりも、明らか?
先に自己弁護しておくと、わたしはゲームのみにのめり込んで死んでいくのも悪くはないと思う(わたしも、人のことは言えないし)。
個人にとっての幸せが個人ごとによって違うように、他人の幸せを非難する権利は本人以外に持つはずがない。
それは、それが家族や他人に迷惑をかけると言うのならば矯正して然るべしだけれど、働かざるもの食うべからずが常の世の中、その文言を享受した上でその体制を貫いているのならば、意志の強さとしては一人前以上のように思う。
働かなければ生きてはいけないが、『働いてなんかいたら、ゲームをやる暇がなくなってしまう』。
だからゲームに重きを置く身としては当たり前の決断。
だけど、それはもはやゲームじゃない。
現実だ。
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