16: ◆8HmEy52dzA[saga]
2015/02/25(水) 20:59:20.88 ID:DLa1I0Qh0
006
そしてまた、今日は繰り返す。
終わりの見えない繰り返し。
朧げどころか、影すらも見えない光明に向かい足踏みを続ける。
けれど諦めることだけはしたくない。
どんな困難な道だって可能性はゼロではないと、アイドルを始めてから知り合ったみんなが、教えてくれたから。
「よ、水谷。おはよう」
「……おはようございます」
何度かわたしを庇って死んでいる阿良々木さんが、何事もなかったかのようにわたしに微笑みを向ける。
それはそうだ、この世界では何がどうなろうとリセットがかかる。
誰が死のうが、隕石が落ちて地球が滅亡しようがそれは変わらない。
だから大丈夫。
諦めなければ夢は叶うって涼さんは言ってくれた。
強く想い続ける事が夢そのものだって、愛ちゃんが教えてくれた。
だから。
「なあ水谷……僕と話をしないか?」
「話……?」
何百回目かもわからない今日について新しい切り口を模索していると、いつの間にか阿良々木さんが何とも言えない表情でわたしに向き合っていた。
そう、例えるのなら、悪戯をした子供を見るような。
水谷は仕方ないな、って言われている、気がした。
「もう、止めにしないか。こんなこと、続けても仕方がないだろう」
「え……?」
「何度繰り返したって変わらない。既に一度起こった事象を引っ繰り返すのは、神様にだって不可能なんだよ、水谷」
何を、言っているのだろうか。
その時、急に靄がかった意識が明瞭になって行く気がした。
そんなことよりも、目の前にいる人は、一体どこの誰?
「貴方は……誰?」
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