過去ログ - 佐久間まゆ「ご結婚おめでとうございます、プロデューサーさん」
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10: ◆Freege5emM[saga]
2015/03/01(日) 23:18:17.79 ID:OA5hrQ14o
●09

まゆさんと久しぶりにお茶を飲んでから、少しだけ日を置いた頃。
私は寮の部屋にまゆさんを招きました。
同室の人には、頼み込んでしばらく部屋を空けてもらっています。

私とまゆさんは部屋で二人きりです。
そこで、まゆさんにどうしても聞いておきたいことがありました。



『ドールハウス、作ってみませんか?』

そこで私がまゆさんに提案したとき、まゆさんは目が点になっていました。

『まゆさんのプロデューサーさんが結婚退職するから、有志で送別会を計画してると聞きまして。
 となると、手作りのプレゼントがあったら雰囲気が出るじゃないですか』

私が口上を並べると、まゆさんの目が泳ぎました。

『……耳が早いですね、泰葉さん。送別会の件、まだそうしようかって話が出ただけですよ』
『あの方は社内人脈広いですから、耳に入ってくるんです』

送別会の話はハッタリでした。
私とまゆさんは担当プロデューサーが別ですから、私の耳にその話は届いていません。

ですが、ハッタリにはそれなりの可能性を見込んでいました。
もし結婚式や披露宴を土日に催すなら、私たちアイドルは仕事と重なってしまいます。
そこで無理にスケジュールを調整しても慌ただしいばかりです。

それなら、事務所関係者だけで別に祝いの席を……
というのは、ありうる考えでしょう。



『まゆは……お菓子を作っていこうと思っています』
『まゆさん、お料理が得意でしたね』
『会場次第では、まゆが料理手伝うのもいいかな、なんて』

一人では手が足りないでしょうが、きっと手は集まるでしょう――と、まゆさんは微笑みました。

『編み物はプレゼントしないんですか? まゆさん、そちらも得意でしたよね。
 編み物のほうがプレゼントらしい気がしますけど』
『らしいって……それは否定しませんけど、結婚祝いですよ』

確かに、彼氏さんへのプレゼントじゃあるまいし、
結婚祝いにマフラーだの手袋だのは、場違いと言われてもしょうがないです。



『そこでドールハウスですよ。明るく可愛らしい家庭を作ってください、
 なんてメッセージを添えて差し上げるには、ぴったりじゃありませんか?
 私としては、これでドールハウス仲間が増えたらいいな、なんて下心がありますけど……
 実はこの私の寮室にも、少しですけど持ち込んでいまして。良ければ』
『えー、その……うう』
『その……?』

まゆさんは露骨にうろたえていました。
聞き役に回ることの多い私が、今日に限って押し出しが強いから、戸惑っているのでしょうか。
ドールハウスを勧めたのだって今日が初めてです。


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