過去ログ - 佐久間まゆ「ご結婚おめでとうございます、プロデューサーさん」
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2: ◆Freege5emM[saga]
2015/03/01(日) 23:12:05.96 ID:OA5hrQ14o

●01

まゆさん――佐久間まゆ――が、かつての担当Pの結婚を祝いたいと言い出すと、
アイドルたちを中心に賛同者が集まって、事務所有志によるお祝いの会が企画されました。
まゆさんの元担当Pは、結婚を期に今の事務所を退職されるとのことで、送別会も兼ねています。

会場は、事務所近くの洒落たレストランです。
ちょっとしたコンサートも開けるほどの顔ぶれが集まったので、貸切にしています。
その多くが、まゆさんと同様に担当としてお世話になったアイドルたちでした。

一方で、仕事上で直接の関係がない顔ぶれもちらほらと見えます。
私はまゆさんと違って、後者の区分に該当する出席者です。



「プロデューサーさんや武内さんならともかく、まゆたちでは……このお店の敷居をまたぐのに、
 ちょっと背伸びしないといけない気がしますね」

私が会場で手持ち無沙汰にしていると、まゆさんが話しかけてきました。
まゆさんがチラリと視線を向ける方には、スーツがよく似合う大柄の男性が立っています。
男女比が女性多めに傾いている会場では、外見だけでかなり浮いて見えます。

「会場の敷居は、送別会の主役に合わせたからいいとして。武内P、私たちと同じぐらいソワソワしてませんか」
「武内さんは、事前準備ではサクサク段取りをまとめてくれて、本当に頼りになったのですが、
 あとは主役を待つばかりという今の段階ではやることが無いんでしょう。
 あの様子も、所在がないからでしょうか」

武内Pは、送別会の主役からまゆさんたちのプロデュースを引き継いだ後任のプロデューサーです。
この会場にアイドルを集めるため、彼のスケジュール調整能力が活躍したと聞いています。

「あっ。今、武内さんに話しかけたの、泰葉さんのモバPさんでは」
「私が出席するって言ったら、同僚の餞(はなむけ)だし、顔出したいって付いてきたんです」

私のプロデューサーさんも、武内Pと似たような状況だったようで、
いつの間にか手にペンと手帳を持って、二人で話し込んでいます。



会場は、アイドルたちの小声でざわついています。

「まゆさんは落ち着いていますね。私が思っていたより、ずっと」
「他人が浮き足立っているのを見ると、自分はかえって落ち着くっていうじゃないですか」

私が視線を落とすと、まゆさんの指はトレードマークの赤いリボンをいじり回していました。

「まゆは、正直まだちょっと自信がないんですよ。お祝いの言葉、ちゃんと言えるのかなって」

赤いリボンはぎゅっと強張って、まゆさんの白い手を締め付けていました。

「でも、泰葉さんがここで見守ってくれるんだから、まゆも頑張らなくっちゃいけませんよね」



まゆさんが今日までに、どんな思いを噛み締めてきたか。

それを一番知っているのは、
まゆさんをこの事務所に引き込んだ今日の主役――でもなければ、
まゆさんの担当を引き継いだ武内P――でもなく、私だと思います。


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