過去ログ - 【咲】京太郎「世話焼きな先輩」美穂子「気になる後輩」
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123: ◆QWOkgqUH0o[saga]
2015/03/18(水) 01:55:03.28 ID:JzYjiogho
――団体戦前夜

美穂子「いよいよ明日ね……」

 高校生活最後のインターハイ、出来る事はしっかりとやってきたはずだ。
 昨年は龍門渕に破れ風越の連続優勝も途絶えてしまった。
 私自身、副将戦で相手を抑えるのが精一杯で他の事まで気が回らなかった。
 でも今年は違う。
 私を慕ってくれる頼もしい仲間が居る、私も気持ちに余裕が持てる。
 正直、キャプテンに向いているだなんて私は思っていない。
 人の面倒をみたりお節介をするのが好きなだけ。
 最初に言われた時は辞退しようとも思ったわね。
 でも、今は引き受けて良かったと思える。
 私達が長野最強だと証明してみせるわ。

美穂子「清澄高校、どうなのかしら」

 ふと頭の中に須賀くんの顔が過ぎり彼の在籍している高校の名が浮かんだ
 今まで部員が足りなくて団体戦に出たことはない、未知数の高校
 初心者とは言え全く打てないという程ではなかった須賀くん。
 その彼が訳の分からないうちに飛ばされたりしたって言っていたのを思い出す。
 警戒はしておくべきね……。

美穂子「須賀くん、か」

 最初に声をかけたのはただの偶然。
 買い出しに行った際に困っている様子だったのを見かけたから、ただそれだけ。
 立派だなんて言われて驚いたし恥ずかしかったわね。
 次にあったのも買い出しの時。
 その時に須賀くんの境遇を聞いてつい声を荒らげてしまった。だって許せなかったんだもの。
 そこで須賀くんに教える約束を取り付けたのだけど、今になって考えてみればかなり強引だったのかも……。

美穂子「それから何回か教えて……」

 色々と条件を付けて打ってもらったけど、特に不満も言わずに頑張ってくれた。
 私が行かない日にも通って色々勉強していたってマスターが言っていたわね。
 楽しいって言ってくれて私も嬉しかった。
 ただ、須賀くんの部内における立場が気になる。
 雀卓とパソコンを運ばせるなんて、清澄の部長は一体何を考えているのかしら。
 須賀くんはある程度納得しているみたいだけれど、自分たちの事ばかり優先して初心者の指導を疎かにするだなんて。

 って、いけないいけない。考えがそれてしまった。

美穂子「目の事も話しちゃったし」

 すでに自分の中で割り切っているとは言え、誰かに話すのはやっぱり緊張した。
 話を聞いて怒ってくれたのは嬉しかったな……。
 その後で目を見せて欲しいと言われた時は正直迷った、やっぱり少し怖かった。
 気味が悪いって思われるんじゃないかって、そう思った。
 でも須賀くんは違った。

美穂子「綺麗だって言ってくれたのよね……」

 と、思い出した途端急に恥ずかしくなってしまった。
 顔が熱い、きっと今見たら真っ赤になってるはず。
 だって面と向かってあんな事を言われるだなんて思っていなかったんだもの。
 嬉しさもあったとは思うけど、恥ずかしさが強すぎて……。

美穂子「あ、もうこんな時間」

 ふと時計を見ると寝ようと思っていた時間を少し過ぎていた。
 大事な大会の日に寝坊をするだなんて絶対に駄目だしそろそろ寝ておかないと。

 寝る準備を整え、横になってから先程まで感じていた緊張感がほぐれているのを感じた。
 理由は分からないけれど、これならしっかりと眠ることが出来そう。

美穂子「おやすみなさい」

 誰に向けた訳でもない言葉をつぶやき私は眠りについた。


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