過去ログ - 仕事を辞めた俺は超自然現象対策室に再就職した　最終章・前編 -SS速報VIP

過去ログ - 仕事を辞めた俺は超自然現象対策室に再就職した　最終章・前編

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12:名無しNIPPER[sage saga]
2015/03/06(金) 02:37:37.76 ID:eb7/ejZ10
　女が運転する黒塗りのライトバンは俺とヤエを乗せて島の外縁に沿った道路をひた走る。
　彼方に見えるのは小高い山々。そして生い茂る山林。
　裾野は切り拓かれ牧草地のようになっている。
　ポツポツと人家も存在しており一見するとのどかな田舎の島という様相であるが、この曇天のせいなのか、はたまた別の事象によるものか……　どこか寂れて見えるし人の気は依然として感じなかった。

以下略

13:名無しNIPPER[sage saga]
2015/03/06(金) 02:40:30.75 ID:eb7/ejZ10
　体育館であったはずの建物は、内装は全て剥がされて打ちっ放しのコンクリートが冷たく露出していた。
　そんな建物の中、殺風景にポツリと置かれた幾つかのソファーや簡易テーブル、業務用の大型ヒーター。
　
　そして――

以下略

14:名無しNIPPER[sage saga]
2015/03/06(金) 02:45:03.70 ID:eb7/ejZ10
「――まずは神山くん、君はどこまで彼女の事を知っている？」

　ヒーターの音が虚しく響く館内。

「本部の山地さんから全てを聞いた」

以下略

15:名無しNIPPER[sage saga]
2015/03/06(金) 02:51:03.81 ID:eb7/ejZ10
　冗談でも何でもなく、至って真剣な眼差しで俺を見つめる男。

「そんなこと言ってる場合かよ……　夕月はどうするんだ？」
「だからだよ神山くん。君は彼女を見てどう思う？」
「どうって、そんな――」

以下略

16:名無しNIPPER[sage saga]
2015/03/06(金) 02:54:00.59 ID:eb7/ejZ10
　あの時の俺は、傍から見ればこんな姿だったのか。
　場違いにも親近感に似た感情が染み渡る。

「――希望、だと？」

以下略

17:名無しNIPPER[sage saga]
2015/03/06(金) 02:57:17.39 ID:eb7/ejZ10
「ならそれをやってくれ」
「失敗して怪物が顕現した場合、どうするつもりだ？」
「――ヤエ」
「はい、龍一様」

以下略

18:名無しNIPPER[sage saga]
2015/03/06(金) 03:00:57.16 ID:eb7/ejZ10
「――龍一様」

　俺とヤエ、そしてベッドに伏す夕月の三人になった館内。
　夕月は依然として肩で呼吸をしているものの、綺麗な瞳は閉じられていた。
　染谷が出て行ったのを見届けてから、ふいにヤエはそう言って俺の胸の中に飛び込んで来る。

以下略

19:名無しNIPPER[sage saga]
2015/03/06(金) 03:04:44.22 ID:eb7/ejZ10
「約束は果たす。奇跡は起こす。なあ、夕月――」

　ベッドに眠る女のもとへ歩み寄る。
　そして静かに見下ろす……

以下略

20:名無しNIPPER[sage saga]
2015/03/06(金) 03:07:06.82 ID:eb7/ejZ10
「――これより儀式に取り掛かる。準備はいいか？」

　やがてそう言って戻って来た染谷。
　彼の後ろに続くのは俺たちを案内した黒縁眼鏡の女。

以下略

21:名無しNIPPER[sage saga]
2015/03/06(金) 03:11:24.59 ID:eb7/ejZ10
――私はずっと一人で生きてきた。

　正確に言えば一人と言うと語弊がある。
　内面的な意味での　一人　だ。

以下略

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