過去ログ - 岡崎泰葉「あなたの為の雛祭り」
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34:名無しNIPPER[saga]
2015/03/08(日) 12:14:35.26 ID:9VESTMO6o

 「はー。色々あるんだね」

そう広くない店内には、所狭しと商品が並べられていました。
ドールハウスにドール各種。衣装に家具、小物類。

 「プロデューサーはこういうの、好きですか?」

 「んー、残念ながら縁遠いねー……うわー凝ってるなぁ」

しきりに感心しているプロデューサーの横で、私も並ぶ品々を眺めます。
この頃はドールも巧く作れるようになったので、選ぶとしたら衣装か……。

 「……あ」

 「お。お目当ての品は見つかった?」

 「いえ、目当てと言うか……」

 「なるほど、これは」

童話をモチーフとしたコーナーの一角。
そこに、先ほど噂した影がありました。

 「シンデレラ城まであるとは」

 「お城というか、舞踏会場ですけどね」

赤絨毯が敷かれた階段に、何故か二足とも揃って忘れられたガラスの靴。
可愛らしくデフォルメされた王子様とシンデレラさん。
階段の下にはカボチャの馬車が停まっていました。

 「…………」

 「欲しい?」

 「その……お値段が」

 「わがままついでだよ。四千円ぐらい遠慮しない! すみませーん!」

 「あの」

プロデューサーが店員さんを呼んでしまいました。
私としては、小さなワガママから始めるつもりだったんですが……。


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