35:名無しNIPPER[saga]
2015/03/08(日) 12:35:29.27 ID:9VESTMO6o
  
  「こちらの一式でよろしいですか?」 
  
  「はい!」 
  
  「38800円になります」 
  
  「…………え」 
  
 値段を聞いてプロデューサーが一瞬固まります。 
 そして小さな値札を二度見すると、震える手でお財布を取り出しました。 
  
  「あの、プロデューサー。無理は」 
  
  「……む、無理じゃないし。大人だからわがまま聞く余裕ぐらいあるし」 
  
 止めようかどうか迷っている内に、プロデューサーが支払いを終えてしまいました。 
 少々お待ちください、と店員さんがセットを包みに行くと、がくりと肩を落とします。 
  
  「…………高いんだね」 
  
  「今からでも……」 
  
  「いい、いいんだ。泰葉ちゃんお仕事頑張ってるし、ご褒美だよ。うん」 
  
 久しく見ていなかった、乾いた笑いでした。 
 無理した笑顔が、これほど心に刺さるとは。 
  
  「ありがとうございます、プロデューサー」 
  
  「うん……その代わり、お願いがあるんだけどさ」 
  
 わがままを聞いてもらったなら、こちらもわがままを聞かない理由はありません。 
 最も、わがままという程の内容ではありませんでしたが。 
57Res/48.11 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 
板[3] 1-[1] l20 
	このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
	もう書き込みできません。