過去ログ - 「怪物は誰かと友達になりたかった」
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5:saga
2015/03/07(土) 01:45:35.86 ID:eA/I8H4n0
何万滴目の涙を拭いてふと外を見ると、家の傍にある湖にいつもと違うものが見えた。
さらさらと流れる金色の髪と、真っ白な肌。
人間の女の子?
それは細い足を湖に浸して、時々思いつめたようにかき混ぜていた。
時々小さく口を動かすのは、歌っているからだろうか。
雲間から溢れてきた太陽光が彼女を包む。
ひとひらの花びらが舞い降りて、そっと髪に色を差した。
鳥は指に止まって楽しげに歌う。
足元には魚が寄ってきて水面が沸いた。
ああ――――
バッ、と反射的に怪物は窓の下に隠れた。
美しかった。美しかった。
あんなに美しいものは見たことがない。
自分以外の全てが美しく見えてしまう世界なのに、多分今なら宝石もじゃがいもと同じ位に見えてしまうだろう。
えーとえーと彼女みたいな人を何と呼ぶんだっけか。
怪物は初めて知識を繰った。
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