過去ログ - 夜更けの影送り 百合ver
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25: ◆/BueNLs5lw[saga]
2015/03/21(土) 19:55:07.17 ID:3oDo0G9g0
港のタクシー乗り場まで来ると、声をかけられた。

「あの、有馬さん……ですか?」

後ろからだったため、先にゆきが返事をした。

「斎藤さんですか?」

「はい。あ、花房さん?」

「そうです」

「あ、今日は来てくださってありがとうございます」

同じくらいの年代のパンツスーツがよく似合う、
青年のような顔立ちの女性――斎藤さんは軽い感じでそう言った。
私は事前に得ていた情報を頭の中でカタカタと打ち出していた。
斎藤さんは通称――サボリの斎藤と言われていた。
表立ってはやる気もあるし、対人スキルも悪くない、それなりに経験と技術もある。
が、プライベートと仕事を区別しない人間だった。
もちろん、区別そのものに善し悪しはない。
しかし、それも状況による。
元々は本社勤務だったが、全く上昇志向のない斎藤さんにしびれを切らした上が、
地方に飛ばして武者修行させているというのがもっぱらの噂であった。

「あそこの赤いので来てるので、乗ってください」

赤。
チャラい。
それが、私の第一印象だった。



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