19:名無しNIPPER
2015/03/08(日) 01:13:20.49 ID:j6K9ZfLpO
……
赤い……赤い景色が一面にひろがっている。
ああ、やはりこの夢だ。
私は一人で立っている。炎と血でまみれた村のなかで震えているのだ。
大槌さえ振り回せるはずの腕は白く細く、まるっきり無力。
わたしはあの頃の小娘にもどっている。
逃げなきゃ、隠れなきゃ…
炎の中をうろつく影にビクつきながら、恐怖ですくむ足を必死で動かして、なんとか水瓶のなかに隠れる。
私の家だった、残骸のなかに。
アレは急にやってきて、まず隣のおじさんを殺した。粗雑な木の杭にお腹を貫かれておじさんは痙攣してた。
村の皆は立ち向かったけれども、みな振り払われ薙ぎ払われて、肉塊になった。
子どもたちで固まって夢中で逃げたけれど、ひとりひとり減っていって、とうとう私だけがのこってしまった。
炎でぬるまった水瓶の水に半分身体をつけて、じっとしていると、ぐるぐるしていた思考が働きを取り戻す。
目と耳が働くようになる。
働くようになって、しまった。
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