21:名無しNIPPER
2015/03/08(日) 01:15:21.69 ID:j6K9ZfLpO
耐え切れなくなって、水瓶の中に完全に隠れても、耳を塞いでも聞こえてしまう。
ああ、これはもう夢なのだから、はやく終わって、わるい夢だ。夢だ。
目が覚めればみんな元通りで、お母さんにしがみついて、怖い夢を見たって思いきり泣けばいい。
耳を塞いで必死でそんなことを考える。
それがいけなかったのか、いや、そもそも逃げ場はもうなかったのだろう。
気づけば獣臭い熱気が側に、いや、上に近づいてきていた。
他とは違う、黒い身体をしたそいつが、不思議なものを見るようにわたしを水瓶からひょいとつまみ上げる。
そうして、重い水瓶をもう片手で持ち上げて鼻先をつっこみ、ぐびりぐびりと音をたてる。
ああ、こいつはのどが渇いていたのか。なんで水瓶に隠れてしまったのだろう。
暴れようにも首根っこを押さえられていて、もう意識が飛びそうだ。
いっそ失神してしまえれば楽なのに、恐怖の針はもう振り切れているようだった。
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