29:名無しNIPPER[saga]
2015/03/10(火) 02:09:18.39 ID:eIfs/RqE0
望郷の念に焦燥する肇に何か言ってあげたくて、肩を掴んだまま向き合っていた。
だけど、情けない事に、こんな時にでも俺の口からは上手い文句は生まれてこない。
「…私、高い所が好きなんです」
「えっ………?」
俺の心中を察してではなかった。肇は呟くようにそう言った。
独り言みたいに言ったけど、いつか聞いたその言葉は、今度はしっかりと俺に向けられていると思った。
「天気のいい日だと、見える様な気がして…」
馬鹿みたいでしょう? そう言外に自嘲しているのがありありと見える。
………続く言葉は、岡山か祖父か。俺には判別できない。
「なぁ、肇」
判別は出来ないけど、そんなのは大した問題ではない筈だ。
だって、肇が求めているのはきっと依り代だろうから。
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