20:名無しNIPPER[sage saga]
2015/03/12(木) 20:26:23.60 ID:PfDWjKojO
ゆっくりとゆっくりとうみと接している太陽の下の部分がブニブニと歪んでいきます
うみは太陽の輝きすらその深くて冷たいうみの底に吸い込ませてしまっていて
沈んでしまった太陽はまるで腐った果実みたいに見えました
[海未]『......沈みますね、太陽』
穂乃果「うみに丸呑みにされちゃってるみたいだね......すごい」
[海未]『......えぇ、本当』
海未ちゃんが、すごい、とボソリとつぶやいて、それから箱のかっこいい箱から出した左手で穂乃果の右手をつかみました
その手は私の手より暖かく、その暖かさが凍てついた手の先を包み込んでギュっと温めてくれました
でも、その指先は湿っていて
そのことが余計に私の手よりも心を暖かくさせました
その時の穂乃果は[海未]ちゃんだって、まだこんなにきれいな夕日を見て、感動するんだ、ということにちょっとホッとしていたんです
何も言わなくても、きれいな景色を見たら自然と涙が流れてくる
そういう[海未]ちゃんに安心を感じていたのだと思います
2人でしばらくそうしていました
あんなに大きかった太陽は意外にもそれから5分も経たないうちに全てをブニブニにしてどす黒い色へと様変わりしたうみの中へと沈んでしまいました
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