過去ログ - 咲「誰よりも強く。それが、私が麻雀をする理由だよ」
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719: ◆JzBFpWM762[saga]
2015/10/18(日) 00:42:47.06 ID:8RJmuE7To

ダヴァン「サトハ、そのへんで……」

 ダヴァンがそれとなく諫める言葉を口にする。

智葉「いやしかし、放っておいてまた同じようなことが繰り返されたら事だぞ」

ハオ「……それは確かに。傷口を広げるのは避けたいですね」

 三人が意見を口にする。そのうちダヴァンとハオは留学生で、残る明華も咲のフォローに回っている。実質留学生は皆少なからず関わっている。

 留学生が傍観に徹しない。その光景を、不思議な感慨と共に智葉は眺めていた。今までの二年間めったに見られなかったことだ。留学生同士が互いのプライベートに口出しするとなればなおさらに。

ネリー「何か、事情を聞く方法ないかな……」

智葉「おい……」

 だが、ふと漏れ聞こえてきたネリーの呟きに、智葉は頭を痛める。この期に及んで諦めていないらしい。その熱意は智葉とて認めないわけにはいかないが、順序があるのではないか、と思わずにいられない。特に咲のような根がどこまで続いているかわからない相手の問題には。

「無理やと思いますよ」

 どうやって諫めようかと智葉が苦心していると、唐突に隣の卓から声が差し挟まれた。

 日本人である。二年生で、この場に呼ばれるほどには実力を示している部員だ。
 いきなりどうしたのだろうか。彼女は何かにつけて首を突っ込むようなタイプではない。智葉は不思議に思った。

ネリー「ムリ……って?」

「うち……あの子と同中なんですよ。でもあの子は、その……自分のことは話さへん。たぶん、絶対に」

 推量する『たぶん』をつけはしたが、絶対という言葉を使うあたり、彼女には何らかの確信があるように思える。

ネリー「……同じ中学? でも、あのときは……」

「うちは、あの人らとは違います……」

 智葉にはわからない会話が交わされる。

ネリー「……」

「宮永さんには返しきれへんものがあります……うちが頼んだことやないけど、あの子はうち、っていうか部のためにいろんなものを擲ってくれた」

「……中学のときの話ですけどね。あの子が友達とどう接してたか見てましたから、ちょっと気になって」

 差し出口を挟んですみません、とあちらの卓で牌が打たれるのを見ながら付け加える。彼女の真剣な眼差し。少なくとも適当なことを言っている風には見えない。智葉を含め、話している当人たち以外は静観していた。



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