過去ログ - 咲「誰よりも強く。それが、私が麻雀をする理由だよ」
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80:名無しNIPPER[saga]
2015/03/22(日) 19:52:31.09 ID:MXertwVhO

智葉「ここでいいか」

咲「はい。すぐに済みますから」

 本屋。本に興味を示さないネリーを漫画コーナーに置いて、文庫本のコーナーに向かう。
 目的の品は平積みされていてすぐに見つかった。

智葉「やはり本が好きなのか」

咲「えっ、先輩」

智葉「ついていっても問題なさそうだったからついでにな」

 隣の棚の本を手にとりながら、智葉が言った。

咲「そうですね。中学では元々文芸部に入ってましたし」

智葉「文芸部か。確かにそんな感じだ」

 少しだけ会話に間が空く。咲は中学時代を思い出していた。
 あのとき入る決意をしなかったら、ずっと麻雀をしないで過ごしてたんだろうな……。
 それがいい事かはわからないが、姉との距離を縮めるきっかけは得られなかっただろう。

智葉「お前の姉も……そういうのが好そうだった」

咲「しってるんですか?」

智葉「ああ。去年インターハイで打ったからな」

咲「あ……そうでしたね」

 個人戦全国三位。それは決勝で姉と卓を囲んだという意味だ。
 咲はまだ見ぬ姉の姿を想像する。

智葉「やはり姉が気になるか」

咲「そう……ですね。私が怒らせちゃったんですけど、前は仲よしだと思ってましたから」

智葉「そうか」

 また間が空く。記憶に残った最後の姉は、プラマイゼロに憤慨する姿だった。

智葉「だから……先鋒にこだわるのか」

咲「それもあります」

咲「お姉ちゃんに……勝たないといけませんから」

智葉「勝たないといけない?」

咲「約束してるんです。姉に勝てたら仲をとりもってくれるって、母と」

 咲の話に智葉は眉をひそめた。

智葉「おかしな条件だな。そんなの無条件にするもんだと思うが」

咲「よくわかりません……ただ、私から何かする勇気もないんです」

智葉「……」

 口をつぐむ智葉。
 沈黙の時間。
 店内に流れる音楽とざわざわとした客の声だけが耳に入る。


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