過去ログ - 咲「誰よりも強く。それが、私が麻雀をする理由だよ」
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◆JzBFpWM762
[saga]
2015/11/28(土) 22:41:42.66 ID:7Izo+H9No
いよいよ応急処置が終わって、片づけにとりかかる。ハンカチの汚れを移した面を内にして折り畳み、スカートのポケットにしまう。
淡「はあ、サキが男だったらイチコロなのに」
――仮定の話は、嫌いだ。自分に限っては、いくらでも弱音をはいてしまいそうになるから。
淡「よしっ、戻りますか」
黙って聞いていると話題が変わって、陽気な調子の彼女に「はい」と肯いて歩き出す。
しかし、淡が歩き出そうとしない。一歩、二歩と進んでそれを見てとった咲も足を止める。
どうしたんだろう。声をかける前に先んじて淡が口を開く。
淡「ふう……戻るのだるいなあ」
「え?」と振り向いた咲からはそっぽを向いて淡が言う。
淡「セーコ……亦野先輩と顔、合わせづらい」
結構、気にしていたのだろうか。気まずそうだ。
咲としてはあまり気遣う態度もとれず、「そうですか」とただ困ったように返す。
亦野さんも心配しているんですよ、なんて彼女をよく知りもしない私が言うわけにはいかないし、どうしようかな……。数秒沈黙が続いた末に、「ホントはね」うんざりしたようなため息をついてから淡は切り出す。
淡「私、二年にも目つけられてるんだよね。ネンコージョレツとかうるさいんだこれが」
体育会系、麻雀をそういっていいのか迷うところだが、スポーツ的な面もあるこの部活では実際、体育会系の理屈で動いているところが少なくない。こういった部では伝統をないがしろにすることを避け、たとえば先輩と後輩に厳格な上下関係を求めることがある。
安部公房はかつてドナルド・キーンとの対談で「(日本人は)型に当てはめないと気が済まないところがある」と語った。
これは、いわゆる様式美、ステレオタイプの作品が好まれるのはなぜか、という問いへの答えであったし、安部公房の生きていた頃とは時代もずいぶん進んだが、それ以外にもみられるところがある、現代にも通ずる部分がある、と咲は考える。紋切り型の理屈は一種の安心感をもたらすところがあるのだ。
ただ、こういった話は日本に限られない。
長幼序列といって一年でも年嵩の人を敬う風習がある。韓国ではこの考えが非常に強い。韓国の人はしばしば相手の年齢を気にするが、この風習の影響が大きい。
咲「上級生とも……ですか」
これらの事から咲が導き出した結論は、安易に手を出してもかえって事態を悪化させかねないということだ。こういったことに付随する感情は非常にセンシティブな問題であり、ビジネスで政治主張や宗教の話題が基本的に好まれないように、よしんば正論であったとしても相手の感情を逆なでして事態を悪くしてしまえば目も当てられない。
手を貸さず親身にしないことは淡と距離を置くひとつの判断だったが、咲の声は自然と重くなった。
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