過去ログ - 咲「誰よりも強く。それが、私が麻雀をする理由だよ」
1- 20
861: ◆JzBFpWM762[saga]
2015/12/10(木) 22:49:22.17 ID:VT4MeD/xo
「おー、宮永。ちょっといいか?」

「はい?」

教壇で日誌か何かをつけていた現代社会の教師がいつのまにか咲の近くにまで歩いてきていて、唐突に話しかけられる。

「あの……」

「ああいやいや、何か言いつけようとか叱ろうってんじゃない。警戒しないでくれ」

自分はそんなに警戒した風だっただろうか。もろ手を軽く上げて降参したようにするその教師に、咲は両端を持ち上げるようにして弁当箱の包みを手のひらに乗せたまま、目をしばたたかせた。

「それでご用は……」

「うん、まあ褒めにきたんだよ。感心したんでな」

「感心、ですか?」

要領を得ない咲の返答に「ああ」と教師はうなずくと、

「まあセンターの科目に現代社会を選ぶやつはあんまりいないからな。受験科目に採用している大学もほとんどない。たいてい、日本史か世界史になってくる」

続けてそう説明し、眉尻を下げる。

「日本の高校生で現代社会に注力して勉強する学生は少ないってことだ」

なんとなく、話が見えてきたので口を開く。

「経済学に興味があるならきちんと勉強したほうがいいですよね」

「そう! そうなんだよ!」

話に理解を示してくれたのがよほどうれしかったのか、教師は教材を抱えて両手が塞がった状態で身振り手振りして喜ぶ。予想以上だった。

「現代社会は経済学の基礎であるミクロ経済学とマクロ経済学を扱っているからな……重要な科目なんだよ」

科目でいうなら政治・経済もあるがあえて言わず、そうですねという意味を込めてこくんとうなずく。

「それなのに経済学部の受験科目ですらほとんどの大学が日本史か世界史を採用するもんだから……皆ちゃんとやらない。定期試験なんかのために勉強したとしても、右から左に忘れておわりさ」

「経済学部の受験科目として現代社会の方がふさわしいっていうのにな……」と、教師は皮肉げな笑みを自嘲ぎみにこぼす。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/901.97 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice