過去ログ - 咲「誰よりも強く。それが、私が麻雀をする理由だよ」
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◆JzBFpWM762
[saga]
2015/12/10(木) 22:51:39.98 ID:VT4MeD/xo
「……あの?」
心配になって話しかけてみると、
「あ、ああ……そうか。わかってくれたならよかった、うん」
若干の歯切れの悪さと共に、返事が返ってくる。教師は左手を首のあたりに当てながら、思い悩む風にして、しかし考えを打ち切ったのか、すぐに視線をこちらに合わせて口を開く。
「時間をとらせて悪かったな。昼メシだったろう?」
「いえ。今からでも充分間に合いますから」
お礼の言葉も改めて伝えると、世間話もそこそこに二言三言交わしてから、別れることになってその教師は教室の出口へと立ち去っていく。
その後ろ姿を見送ってから、何となしに漠然とした視線を周囲に向ける。
視線は合ったそばから逸らされた。そして、ひそひそと噂するような声。どうしてだろう。自分を眺めたり盗み見したりする生徒たちのまなざしには、怯えや得体のしれないものに対するような色が宿っている。
それは、それらの目は、中学でも経験したものと同じ――どうしてそんな目で私を見るの――まったく同じものだった。
いたたまれなくなって教室を急ぎあとにする。内心は表にださない。押し隠す。そしてそれはうまくいった。
退室する直前、胸の奥にたまった息苦しさをすぼめた唇から漏れる物憂げな吐息に変えて扉の向こうへと踏みだした。
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