過去ログ - 咲「誰よりも強く。それが、私が麻雀をする理由だよ」
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870: ◆JzBFpWM762[sage]
2015/12/15(火) 23:33:09.75 ID:Y8k0m8hzo
お礼の言葉も改めて伝えると、世間話もそこそこに二言三言交わしてから、別れることになってその教師は教室の出口へと立ち去っていく。

その後ろ姿を見送ってから、何となしに漠然とした視線を周囲に向ける。

視線は合ったそばから逸らされた。そして、ひそひそと噂するような声。どうしてだろう。遠巻きに自分を眺めたり盗み見したりする生徒たちのまなざし。そこには、怯えや得体のしれないものに対するような色が宿っている。

それは、それらの目は、中学でも経験したものと同じ――どうしてそんな目で私を見るの――まったく同じものだった。

いたたまれなくなって急ぎ教室をあとにする。内心は表にださない。押し隠す。そしてそれはうまくいった。

退室する直前、胸の奥にたまった息苦しさをすぼめた唇から漏れる物憂げな吐息に変えて扉の向こうへと踏みだした。









青空に羊雲が群れていた。陽射しは穏やかで、渡り廊下を歩いている咲の顔をぬくぬくと照らす。

麻雀部の部室を目指していた。そのために、校舎から一度出て部室棟へ。部室で昼食をとろうと考えていた。日中ネリーが過ごすことの多いその一角で昼の休憩を過ごすのがルーティンとなりつつある。

道すがら、中庭を横切って走る渡り廊下から見える中庭の風景に目を止める。どきりとした。

見上げるような桜の木のふもとに、亜麻色の髪をした少女が背中を預けている。

明華だ。目を瞑って、何かに耳を澄ますようにその場に佇んでいる。不意の遭遇に咲の足が止まる。



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