過去ログ - 咲「誰よりも強く。それが、私が麻雀をする理由だよ」
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912: ◆JzBFpWM762[saga]
2015/12/23(水) 19:45:32.82 ID:Leypu+/yo
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わたしの名前は宮永咲。小学四年生の女の子です。

わたしには夢があります。それは、みんなが悲しまないようにすることです。







長野で暮らしている家から飛び出して、電車を乗り継いで、乗り継いで、乗り継いで、駅員さんに呼び止められそうになって、逃げて、乗り継いで、わたしは東京の街にやってきました。

東京の街は喧騒に包まれています。たくさんの人で、あふれかえっています。

わたしは人がたくさんいる通りを歩いて人とぶつからないよう苦戦しながら、この街にきた理由を考えます。

おねえちゃんと、仲直りがしたい。

『私にはもう、咲のことがわからない』

そう言って、おねえちゃんはわたしの元を去ってしまった。

麻雀。プラマイゼロ。

わたしはやってはならないことを、大好きなおねえちゃんに、してしまった。

それだけはやってはならなかったんだと思う。

けど、わからない。麻雀は点数を競うゲームだから、勝っても負けてもいないようにすれば落ち込まないですむのに。悲しまなくてもいいのに。

なんで、おねえちゃんは怒ってしまったんだろう。

なんで、おねえちゃんは泣きそうな顔をしたんだろう。

わたしには……わからない。

入り組んだ道には入らないよう注意しながら歩いていると、やがて景色が変わります。

同じ表通りでも、ここは違ってみえます。

たくさん、たくさん人がいて、にぎやかな雰囲気は変わらないように思いますが、いる人が違ってみえます。

なんだか違う宝石みたいです。この街はたくさんの宝石が詰まった宝石箱です。

違ってみえる人たちの顔を通りすがる際、ちらりと覗きます。あまり気をとられていてはいけないので、ちょっとだけにしておきます。

おねえちゃんの家にいかなければなりません。おねえちゃんに会いにいかなければなりません。

あまり時間をかけていたら連れ戻されてしまうかもしれません。お父さんはお母さんよりわたしを見つけるのが下手ですが、お母さんに連絡されたらきっとすぐに見つかってしまいます。いや、お母さんに会えたらおねえちゃんにも会えるかもしれないけど、会わせてもらえないかもしれないのでやっぱり自分で会いにいきます。

いっぱい歩きました。いっぱい景色が変わりました。

おねえちゃんの家が見えてきました。ここがおねえちゃんの家だということは知っています。

呼び鈴を鳴らします。まだ日が高くて学校にいくような時間だけど、日曜日だから家にいたら会えます。


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