過去ログ - 咲「誰よりも強く。それが、私が麻雀をする理由だよ」
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929: ◆JzBFpWM762[sage]
2016/01/03(日) 21:50:01.36 ID:JBG2pq10o


薄暮の時間。青白く染まった空の地平線に太陽が暮れなずんでいる。

こんな時分にはしじまが似合う。ノートや教材の紙面を走るシャーペン――メカニカルペンシルの音のほかに目立った物音を立てるもののない静かな部屋で、勉強机に向き合いながら咲は外の景色に目もくれず思いをよぎらせる。

帰宅してから現在の六時過ぎに至るまで、ほぼ日課となっている勉強を黙々とこなしていた。そして、改めて感じる。

ああ、やっぱりこれが理想的な営みだ……と。

昨日、とくに帰り道の電車では気が急いて仕方なかった。練習を抜けて、懇意にしている相手のお願いを安請け合いして、あまつさえ街を遊び歩いて。尊んでいたはずの日常を助走をつけて飛び越えてしまった不安は、反動のように消化不能のもやもやをささくれ立った心に残していった。

自分から望んで同行し、お願いを引き受けたのもすすんでの事だったのに変な話だ。けれどこうして一人考え込む時間と余裕が出来てしまうと、もやもやとした感覚がいっそう沁み込んでいく。目的に誠実であれなかったことへの不安、怯えに似たようなものまで頭に浸透してくる。

こんな思いをする羽目になる。それに薄々感づいていたのに。

結果、得るもののない迷妄に苛まれている。握る筆記具に力をこめすぎて芯が折れる。

「あっ……」

間抜けな声を上げる。何をやっているんだろう。かぶりを振って雑念を追い払う。

目の前の勉強に意識を全集中しなければ。今この瞬間、全ての精力をそれに傾けなければならない。

なのに。

ふと、勉強の前に連絡し通話した母とのやりとりが反すうされる。


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