過去ログ - 咲「誰よりも強く。それが、私が麻雀をする理由だよ」
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◆JzBFpWM762
[sage]
2016/01/03(日) 21:56:22.37 ID:JBG2pq10o
「んー、小さめのファッションビル……ゲームセンターとかもテナントに入ってるとこで待ち合わせらしいけど」
少し前の出来事に思いを馳せているとネリーから返事がきた。人込みに巻き込まれないよう注意もしないといけないから会話しても顔は前を向いたままだ。
「ファッションビル……」
「あんまり馴染みない?」
「コンパクトなショッピンセンター……って考えたら」
何とかわかるかもしれない、と頭にめぐらせたイメージを咀嚼して浅い肯きを繰り返しながら答える。地方都市でも大型のショッピングセンターはそこそこ見かける。咲の場合、出不精のような中学時代を送っていたので同年代と比べて馴染み深いとは言えないが。
「ふふ、サキは田舎者だからね。都会のことはこのわたし様が教えてしんぜよう」
「……そっちも上京したばっかのくせに」
「お、生意気。いいぜ、この適応ライト浴びた並みに都会に順応したわたし様に舌を巻くがいい」
影で事件を操作する黒幕のような雰囲気を気取りながら鼻息を鳴らすえらそうなネリーに、その背中にじっとりとした視線を送りながら咲は唇のあたりをもにょもにょさせた。
「なんかえらそう」
「えらいよ。サキが迷子になるかならないかはこの手にかかってるからねー」
繋いだ手を持ち上げて示し、同時に後ろの咲を振り返ってにかっと笑う。春の陽だまりみたいな笑顔。思わず、咲は息を呑んだ。
かわいい……小動物が精いっぱい強がるような感じがして、ぬいぐるみのように抱きしめてしまいたくなる。
ネリーの笑顔を目の前にして咲は胸の鼓動を強くした。同時に、目頭が熱くなるような感覚がこみ上げる。
小さな子供のような人を、自分はこんなに好んでいただろうか……思い出の中では幼いころの姉など家族の姿は目に焼きついて、姉には強い好意を抱いてはいるけど、姉に関してはあくまで昔だから子供の姿なのであって、小さいこと自体にはこだわりはない……と思う。
いや、子供の姿でも……という思いもまたあるのは事実だけど、主に映像や紙面に見る成長した姉の姿は誇張抜きにうつくしくて。そう感じるのはきっとひいき目だけじゃない。
脱線した。ともかく、大人びた姉に今でも恋い焦がれるような憧憬を向けているように、どちらかというと自分は包容力を感じる歳上の女性などに好感を覚える、というのは薄々自覚していたけれど。
いま、ネリーに対して感じるときめきのようなものはそれとはまた一線を画している。蒐集する趣味などなかったから気づかなかったものの、本来ぬいぐるみをはじめとしたファンシーグッズや小物雑貨が好みなのかもしれない。高校生にして新しい自分の発見だった。
そんな感慨がむくむくとわいてぼうっとネリーの顔を見つめ返していると。
「うん? 今呆然とするとこあった?」
ネリーとしては不可解な反応に映ったのだろう、困惑気味に指摘される。
「えっ、あ……」
感慨から我に返って、目をしばたたく。まさかあなたに見とれてました、なんて言えない。恋に落ちた男女じゃあるまいに。
「あ、あー……」
「……?」
目を泳がせながらごまかしにならない声を漏らすと、不思議と怪訝が入りまじった表情で見つめられる。
話題、別の話題……咲は思うように働かない頭を回転させる。
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