過去ログ - 咲「誰よりも強く。それが、私が麻雀をする理由だよ」
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963: ◆JzBFpWM762[saga]
2016/01/12(火) 23:37:15.81 ID:wCVwz0P2o
「写真?」

一枚の写真だった。疑問をそのまま口にした咲に向けてそれの表面が掲げられる。

そして見せられた写真に写ったものを目にして、「えっ……」と咲が漏らした。

「……探しもの。見覚え、ある?」

「……オル、ゴール?」

写っていたのは、オルゴール。それも咲の持つ宝物と……リュージュ社製のそれと、ぱっと見では思わず見間違えそうなほど似ている、非常に印象的な外見を持つものだった。

「……驚いてる? ネリーもね、あの日驚いたんだ」

「……あっ」

思い出す。つい先日の出来事。ネリーの様子が突然変わって、困惑させられたあれ。間抜けな声を漏らしていると知りつつも、咲の口からはそれが漏れる。

失せもの探し、街での散策、そしてオルゴール。謎めいていたものがおぼろげながらも線で繋がりつつあった。

「その反応からして、サキが犯人って線は薄そうだね」

「……疑ってた?」

「ううん。冗談。大体、サキの持ってるのとすごく似てるけど細部は間違いなく違うしね」

それは、そうだ。とても似通っているように見えるがディティールが異なる。咲の目にもそれは明らかで、だからネリーの言葉も確かに冗談だったのだろう。

ほっとする。疑いを向けられるのは良い気分じゃない。それも相手がネリーとなれば……どうにかして身の潔白を証明したい、という確たる思いが咲の中にあった。

「似たようなの持ってるから疑わしい、ってしたらほとんどの人が何かしら怪しくなってくるし」

写真が傷つかないように端をつまむ指先を器用に繰って、写真の表面を自分の側に向けるとネリーは「はあ」と息をつく。失せもの探し……オルゴールの行方を人を雇って探そうとしていて、今まで咲が得た情報から鑑みるに成果は芳しくないようだ。咲も、思わず眉尻を下げる。

「それで……ここの人に聞くっていうのは?」

「ああ、それはね」

ネリーがオルゴールを失くしたのは渋谷の街中だという可能性があり、拙いながらも自分でも探している。勿論落し物の届けは既に出していて、人を雇って探して、それでも行方は杳としてしれない……ということらしい。

脇を通りがかっていく人がちらりと視界の隅に入るのを感じつつ、端折った説明を受ける。

「さて、説明が終わったところで」

写真を指先で弄びながらネリーがゲームセンターの中を見渡す。手持ち無沙汰そうな人を捕まえて話を聞くつもりのようだ。

咲も、ネリーに倣って見渡しつつ、


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