過去ログ - 工藤忍「今日はいいてんき」
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12:名無しNIPPER[saga]
2015/03/17(火) 14:02:17.68 ID:pbZE6X4vO

学校への転入もアイドルとしての活動も、新年度を待つ形となっていた。そのため、三月が終わるまでの間、何もすることがない。
暇つぶしに事務所に出かけてみても、私と同じくらいの年の女の子はいなかった。事務をする場所なのだから、アイドルはいない。当たり前のことだった。

両親とひとつ屋根の下で暮らしていた今までは、一日中家にいれば、家族と口をきく機会なんて何度もあった。
外に出れば友達もいた。なにか特別なことをしていたわけではないが、友達と一緒にうだうだと過ごしていれば、一日なんてあっという間に過ぎていた。

だが東京では、知り合いは誰もいない。部屋にいるのはもちろん私一人。アパートにいても話す相手はいない。外に出ても話す相手はいない。買い物に出ても無言で用は済む。

近所を歩いても、事務所に行ってみても、都心のおしゃれなカフェに入ってみても、東京では誰も声をかけては来ない。十六歳の私は、正真正銘のひとりぼっちだった。

もちろん携帯電話は持っていたが、母や友達と連絡を取り合ったのは、一人暮らしを始めてからの最初の二、三日程度だった。みんな新年度に向けていろいろ忙しいんだ、と自分を無理に納得させたところで、元気は出ない。

かといって、こっちから連絡するのも「負け」を認めてしまうような気がして嫌だった。

とにかく寂しい。人恋しい。青森にいた頃は、外を歩けば見知った顔のおじちゃん、おばちゃんが声をかけてくれた。
こんなに長い間誰とも話さないのは、本当に、ものごころついてから初めてのことだった。



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