過去ログ - 浜風「私達はきっと人間の出来損ない」
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42: ◆XTxK6n/lbg[sagesaga]
2015/03/22(日) 22:15:25.79 ID:tqbWSRGsO
「やっ…!」

ぴしゃりと音がして、彼女の乳房を掴む私の手が弾き飛ばされた。
驚いて腕の先を見る。真っ赤に染まった手の甲が、じんじんと疼き始めた。

「やめてくださいっ!」

怒気をはらんだ潮さんの声が聞こえる。
彼女のこんな声は初めて聞いた。身体が微かに震えるのを自覚する。
私は、今度こそ本気で慌て出し、彼女に謝罪した。

「…すみません、調子にのりすぎました」

深々と頭を下げて、至極真面目な声音で反省の言葉を紡ぐ。

「少し、ショックです。浜風さんがこんな意地悪なことをする人だなんて思いませんでした…」

「本当にすみません。場を和ませるつもりの冗談で…友人に大事な相談をされた喜びで舞い上がり、調子に乗ってしまったんです」

「そんな!どうしてあんな…!浜風さんだって私と同じ思いをしてきているのに…」

「悪気はなかったんです…。でも、潮さんのお怒りはごもっともです。私が全面的に悪い」

なおも激高する潮さんに、言葉を失ってしまう。
彼女の怒りは実にが正しい。本当に愚かなのは、私だったのだ。

だが、潮さんもまた、愚かな人であるのに変わりはないのだろう。
しばしの沈黙の後、怒りを持続することに耐えかねたように私に謝罪の言葉を告げてきた。

「…いいえ。すみません、叩いたりなんかして。きっと私が大袈裟すぎるんです。いつまでも昔のことを引きずって…馬鹿みたいですよね?」

「…」

私は、潮さんのその自らを糾弾するような物言いの質問に、あえて反応することはしなかった。


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