2: ◆KalAsNXPcs[sage]
2015/03/18(水) 10:31:26.50 ID:GRfcXm90o
昨夜の嵐に、桜の花は散りつくした。
地に落ちた花びらは、風雨に吹き散らかされ、
朝の光の中で土の色に汚れていた。
自室の窓から見えるその一本の桜が昨日までは満開の花を誇っていたことを、
響は確かに憶えていた。
梢に二房のさくらんぼの果実があった。
「早いな。普通は五月くらいだろうに」
と、響はひとりごちた。
言葉を返すべき第六駆逐隊の僚艦は、既にみな海の底へ消えている。
自分もまた暗い海底へ逝くだろうと思っていても、いずれ必ず沈むのだろうと思っていても、
今ここで一人残されているのは寂しかった。
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