過去ログ - 神谷奈緒「初恋が叶ったとしたら」
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1: ◆naranciafLZ1[sage]
2015/03/21(土) 02:53:48.45 ID:+vHl52aeo
アイドルがアイドルにならないで普通の思春期を送っていたら的なifです。
短いです。
気楽に楽しんでもらえたらなによりです。
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2: ◆naranciafLZ1[sage saga]
2015/03/21(土) 02:54:40.28 ID:+vHl52aeo
その日、むさ苦しいアニ研に一条の光が差し込んだ。
3: ◆naranciafLZ1[sage saga]
2015/03/21(土) 02:55:41.57 ID:+vHl52aeo
神谷奈緒。
そう名乗った新入生は、野暮ったい印象はあるものの美少女と言って差し支えない容姿をしていた。
俺を始め、容姿カーストで上位に位置する女子と会話などしたことのない、陰キャラ揃いの部活動である。
当然のように狂喜乱舞し、なけなしのトークスキルを振り絞って、神谷を囲んでの座談会が日夜開かれた。
4: ◆naranciafLZ1[sage saga]
2015/03/21(土) 02:56:19.83 ID:+vHl52aeo
とはいえ、アニメの話題などそのうち尽きるもの。
今までどおり、俺以外の部員はたまーに顔を出す程度に戻っていった。
俺以外と言った。
例外が一人いる。神谷奈緒である。
5: ◆naranciafLZ1[sage saga]
2015/03/21(土) 02:57:04.00 ID:+vHl52aeo
神谷は熱心に部活動に参加した。
俺が自分以外で初めて出会う、アニメを研究する人間だった。
「センパイ、マドラックスってキング・クリムゾンに似てません?」
6: ◆naranciafLZ1[sage saga]
2015/03/21(土) 02:57:47.14 ID:+vHl52aeo
5月頃のことである。
せっかくの大型連休なので神谷を遊びに誘うことにした。
極めて自然に、平静を装って。内心はバクバクであったが。
俺の内情を知ってか知らずか、神谷はあっさりオーケーだった。
7: ◆naranciafLZ1[sage saga]
2015/03/21(土) 02:58:33.26 ID:+vHl52aeo
俺達の暮らす町からは秋葉原のほうが行きやすいけど、少し遠出をして中野ブロードウェイへ。
「おおー、ここが中野!」
どこぞの妹キャラのように諸手を上げてグルグルと、タンクトップから覗く腋が眩しい。
パンキッシュなキャップとオーバーオールのコーデは何かのキャラのようにハマっていた。
こんなことを言ったらぶっ飛ばされそうだから言わないけれど。
8: ◆naranciafLZ1[sage saga]
2015/03/21(土) 02:59:07.28 ID:+vHl52aeo
「まあ一日は長いし、ゆっくり見て回ろうぜ」
「そうだな、センパイ。あー、あたしTRFってところに一度行ってみたかったんだよね〜」
「別にいいが、何故よりによってそこなんだ……」
9: ◆naranciafLZ1[sage saga]
2015/03/21(土) 02:59:39.61 ID:+vHl52aeo
一度デートに行ったから何が変わるわけでもなく。
つか、俺が一方的に意識しているだけなのだろう。悲しいことに。
梅雨に入ったが、校内で唯一合法的にアニメが見られる場所はいつも通り。
むしろいつもは来ない連中が来ている分賑やかだ。
10: ◆naranciafLZ1[sage saga]
2015/03/21(土) 03:00:37.06 ID:+vHl52aeo
「センパイ、テレビ空かないし今日も一勝負していかないか?」
「おう、いいぞ」
俺達は先に帰る旨を部員共に伝えると、一路ゲーセンへ。
11: ◆naranciafLZ1[sage saga]
2015/03/21(土) 03:01:42.61 ID:+vHl52aeo
コインを入れて選曲、二人でフチをカカカカッっと連打する。すると最高難度の鬼レベルでプレイすることが可能になる。
曲はXジャパン、紅。
今となっては高難度曲のイメージも薄れたが、初見の時は腕を殺しに来ている連打譜面に絶望したものだ。
ドッカッドドカッドッカドッドカッ
12: ◆naranciafLZ1[sage saga]
2015/03/21(土) 03:02:52.40 ID:+vHl52aeo
「センパイ、後ちょっとでフルコンだったのに。惜しかったなあ」
「やっぱ紅は腕が疲れるからな」
それだけではないが。
13: ◆naranciafLZ1[sage saga]
2015/03/21(土) 03:04:10.82 ID:+vHl52aeo
期末テスト、何それ美味しいの?
俺のテスト結果は国語が良くてそれ以外は普通だ。
一週間前泣きついてきた神谷は、昨年の過去問を与えたお陰か赤点は免れたようだ。
まあそんなことはどうでもいい。夏休みが始まった。
14: ◆naranciafLZ1[sage saga]
2015/03/21(土) 03:04:47.04 ID:+vHl52aeo
アニ研に合宿はない。だが各自で鑑賞会を開くのは自由である。
クソ暑い中、アニメを見るために登校してくる物好きなどいない。
俺達だけ。
掃除の行き届いていないホコリ臭い部室に、二人。
窓を全開にして扇風機を回し、アニメを見ている。
15: ◆naranciafLZ1[sage saga]
2015/03/21(土) 03:05:47.81 ID:+vHl52aeo
外周を走る運動部の掛け声が遠くに聞こえる。
汗が肌を伝う。
「なあ神谷、わざわざここに来なくても、アニメなら家で見れるぞ」
古ぼけたブラウン管から目をそらさず、すぐそこに座っているはずの彼女に呼びかける。
「センパイがそれ言う?」
16: ◆naranciafLZ1[sage saga]
2015/03/21(土) 03:06:25.32 ID:+vHl52aeo
「なあお前さ、いや、俺のうぬぼれじゃなかったらだけどさ……俺のこと、好きか?」
画面から、目が、離せない。
小さな息遣いも、程よい制汗剤の香りも感じるというのに。
17: ◆naranciafLZ1[sage saga]
2015/03/21(土) 03:07:26.95 ID:+vHl52aeo
「……今ので少し嫌いになったかな」
汗が、顎から滴り落ちた。
「それって」「こっち向いて」
18: ◆naranciafLZ1[sage saga]
2015/03/21(土) 03:08:02.65 ID:+vHl52aeo
「おま、いきなりすぎるだろ!」
「肝心なところでチキったからお仕置き!」
ヤケクソのように叫んだ奈緒の顔はとても赤くて。
19: ◆naranciafLZ1[sage saga]
2015/03/21(土) 03:08:44.88 ID:+vHl52aeo
俺はそんな彼女のことが可愛くて仕方なくなって、だからこう言った。
「好きです。付き合ってください」
なんて返ってきたかは覚えていない。
20: ◆naranciafLZ1[sage saga]
2015/03/21(土) 03:10:23.21 ID:+vHl52aeo
お わ り
奈緒ちゃんは俺たちの理想を体現した存在です
21:名無しNIPPER[sage]
2015/03/21(土) 03:12:34.11 ID:wJ+PEk9jO
駆け抜ける妄想
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