過去ログ - 神谷奈緒「初恋が叶ったとしたら」
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10: ◆naranciafLZ1[sage saga]
2015/03/21(土) 03:00:37.06 ID:+vHl52aeo
 「センパイ、テレビ空かないし今日も一勝負していかないか?」 
  
 「おう、いいぞ」 
  
 俺達は先に帰る旨を部員共に伝えると、一路ゲーセンへ。 
11: ◆naranciafLZ1[sage saga]
2015/03/21(土) 03:01:42.61 ID:+vHl52aeo
 コインを入れて選曲、二人でフチをカカカカッっと連打する。すると最高難度の鬼レベルでプレイすることが可能になる。 
 曲はXジャパン、紅。 
 今となっては高難度曲のイメージも薄れたが、初見の時は腕を殺しに来ている連打譜面に絶望したものだ。 
  
 ドッカッドドカッドッカドッドカッ 
12: ◆naranciafLZ1[sage saga]
2015/03/21(土) 03:02:52.40 ID:+vHl52aeo
 「センパイ、後ちょっとでフルコンだったのに。惜しかったなあ」 
  
 「やっぱ紅は腕が疲れるからな」 
  
 それだけではないが。 
13: ◆naranciafLZ1[sage saga]
2015/03/21(土) 03:04:10.82 ID:+vHl52aeo
 期末テスト、何それ美味しいの? 
 俺のテスト結果は国語が良くてそれ以外は普通だ。 
 一週間前泣きついてきた神谷は、昨年の過去問を与えたお陰か赤点は免れたようだ。 
 まあそんなことはどうでもいい。夏休みが始まった。 
14: ◆naranciafLZ1[sage saga]
2015/03/21(土) 03:04:47.04 ID:+vHl52aeo
 アニ研に合宿はない。だが各自で鑑賞会を開くのは自由である。 
 クソ暑い中、アニメを見るために登校してくる物好きなどいない。 
 俺達だけ。 
 掃除の行き届いていないホコリ臭い部室に、二人。 
 窓を全開にして扇風機を回し、アニメを見ている。 
15: ◆naranciafLZ1[sage saga]
2015/03/21(土) 03:05:47.81 ID:+vHl52aeo
 外周を走る運動部の掛け声が遠くに聞こえる。 
 汗が肌を伝う。 
 「なあ神谷、わざわざここに来なくても、アニメなら家で見れるぞ」 
 古ぼけたブラウン管から目をそらさず、すぐそこに座っているはずの彼女に呼びかける。 
 「センパイがそれ言う?」 
16: ◆naranciafLZ1[sage saga]
2015/03/21(土) 03:06:25.32 ID:+vHl52aeo
 「なあお前さ、いや、俺のうぬぼれじゃなかったらだけどさ……俺のこと、好きか?」 
 画面から、目が、離せない。 
 小さな息遣いも、程よい制汗剤の香りも感じるというのに。 
17: ◆naranciafLZ1[sage saga]
2015/03/21(土) 03:07:26.95 ID:+vHl52aeo
 「……今ので少し嫌いになったかな」 
  
 汗が、顎から滴り落ちた。 
  
 「それって」「こっち向いて」 
18: ◆naranciafLZ1[sage saga]
2015/03/21(土) 03:08:02.65 ID:+vHl52aeo
 「おま、いきなりすぎるだろ!」 
  
 「肝心なところでチキったからお仕置き!」 
  
 ヤケクソのように叫んだ奈緒の顔はとても赤くて。 
19: ◆naranciafLZ1[sage saga]
2015/03/21(土) 03:08:44.88 ID:+vHl52aeo
 俺はそんな彼女のことが可愛くて仕方なくなって、だからこう言った。 
  
 「好きです。付き合ってください」 
  
 なんて返ってきたかは覚えていない。 
20: ◆naranciafLZ1[sage saga]
2015/03/21(土) 03:10:23.21 ID:+vHl52aeo
 お わ り 
  
 奈緒ちゃんは俺たちの理想を体現した存在です 
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