過去ログ - 神谷奈緒「初恋が叶ったとしたら」
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6: ◆naranciafLZ1[sage saga]
2015/03/21(土) 02:57:47.14 ID:+vHl52aeo
5月頃のことである。
せっかくの大型連休なので神谷を遊びに誘うことにした。
極めて自然に、平静を装って。内心はバクバクであったが。
俺の内情を知ってか知らずか、神谷はあっさりオーケーだった。
7: ◆naranciafLZ1[sage saga]
2015/03/21(土) 02:58:33.26 ID:+vHl52aeo
俺達の暮らす町からは秋葉原のほうが行きやすいけど、少し遠出をして中野ブロードウェイへ。
「おおー、ここが中野!」
どこぞの妹キャラのように諸手を上げてグルグルと、タンクトップから覗く腋が眩しい。
パンキッシュなキャップとオーバーオールのコーデは何かのキャラのようにハマっていた。
こんなことを言ったらぶっ飛ばされそうだから言わないけれど。
8: ◆naranciafLZ1[sage saga]
2015/03/21(土) 02:59:07.28 ID:+vHl52aeo
「まあ一日は長いし、ゆっくり見て回ろうぜ」
「そうだな、センパイ。あー、あたしTRFってところに一度行ってみたかったんだよね〜」
「別にいいが、何故よりによってそこなんだ……」
9: ◆naranciafLZ1[sage saga]
2015/03/21(土) 02:59:39.61 ID:+vHl52aeo
一度デートに行ったから何が変わるわけでもなく。
つか、俺が一方的に意識しているだけなのだろう。悲しいことに。
梅雨に入ったが、校内で唯一合法的にアニメが見られる場所はいつも通り。
むしろいつもは来ない連中が来ている分賑やかだ。
10: ◆naranciafLZ1[sage saga]
2015/03/21(土) 03:00:37.06 ID:+vHl52aeo
「センパイ、テレビ空かないし今日も一勝負していかないか?」
「おう、いいぞ」
俺達は先に帰る旨を部員共に伝えると、一路ゲーセンへ。
11: ◆naranciafLZ1[sage saga]
2015/03/21(土) 03:01:42.61 ID:+vHl52aeo
コインを入れて選曲、二人でフチをカカカカッっと連打する。すると最高難度の鬼レベルでプレイすることが可能になる。
曲はXジャパン、紅。
今となっては高難度曲のイメージも薄れたが、初見の時は腕を殺しに来ている連打譜面に絶望したものだ。
ドッカッドドカッドッカドッドカッ
12: ◆naranciafLZ1[sage saga]
2015/03/21(土) 03:02:52.40 ID:+vHl52aeo
「センパイ、後ちょっとでフルコンだったのに。惜しかったなあ」
「やっぱ紅は腕が疲れるからな」
それだけではないが。
13: ◆naranciafLZ1[sage saga]
2015/03/21(土) 03:04:10.82 ID:+vHl52aeo
期末テスト、何それ美味しいの?
俺のテスト結果は国語が良くてそれ以外は普通だ。
一週間前泣きついてきた神谷は、昨年の過去問を与えたお陰か赤点は免れたようだ。
まあそんなことはどうでもいい。夏休みが始まった。
14: ◆naranciafLZ1[sage saga]
2015/03/21(土) 03:04:47.04 ID:+vHl52aeo
アニ研に合宿はない。だが各自で鑑賞会を開くのは自由である。
クソ暑い中、アニメを見るために登校してくる物好きなどいない。
俺達だけ。
掃除の行き届いていないホコリ臭い部室に、二人。
窓を全開にして扇風機を回し、アニメを見ている。
15: ◆naranciafLZ1[sage saga]
2015/03/21(土) 03:05:47.81 ID:+vHl52aeo
外周を走る運動部の掛け声が遠くに聞こえる。
汗が肌を伝う。
「なあ神谷、わざわざここに来なくても、アニメなら家で見れるぞ」
古ぼけたブラウン管から目をそらさず、すぐそこに座っているはずの彼女に呼びかける。
「センパイがそれ言う?」
16: ◆naranciafLZ1[sage saga]
2015/03/21(土) 03:06:25.32 ID:+vHl52aeo
「なあお前さ、いや、俺のうぬぼれじゃなかったらだけどさ……俺のこと、好きか?」
画面から、目が、離せない。
小さな息遣いも、程よい制汗剤の香りも感じるというのに。
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