2:名無しNIPPER
2015/03/21(土) 21:31:58.59 ID:nJPgXTqwO
男が好きだ。
重い荷物を代わりに持ってくれる少し大きな手が好きだ。怪我を負ったり、具合が悪かったりするときにおぶってくれる背中が好きだ。少し垂れた目がすきだ。照れると目を細める癖がすきだ。話している時の優しい目がすきだ。優しい性格が好きだ。おせっかい焼きなのが好きだ。他人のために涙を流せるところが好きだ。笑う時の顔が好きだ。
3:名無しNIPPER
2015/03/21(土) 21:33:21.31 ID:nJPgXTqwO
好きで好きで好きで好きで好きでたまらない。本当に好きで、男のためなら何をしてもよくて、気持ちを伝えたくて、キスをしたくて、抱きしめて欲しくて。
けど、けれど。
僕は男の人だから。
4:名無しNIPPER
2015/03/21(土) 21:33:52.93 ID:nJPgXTqwO
けど
「やっぱり、辛いなぁ…」
この気持ちを自覚したのは、つい最近の事だ。
5:名無しNIPPER
2015/03/21(土) 21:34:33.45 ID:nJPgXTqwO
いや、本当はそうじゃないのかもしれない。
本当は男が彼女の手を取って、僕と男の間に…。
だけど、それを考えると、僕は気がおかしくなってしまいそうになるのだ。
6:名無しNIPPER
2015/03/21(土) 21:35:01.98 ID:nJPgXTqwO
そう考えても、あの子が男と話している時の、チクチクとした気持ちは消えない。
あの子が来る前に、男が女の人と話しているときになるチクリとした感じ。
それを何倍、何十倍にも、大きくしたようだ。
7:名無しNIPPER
2015/03/21(土) 21:35:47.95 ID:nJPgXTqwO
翌朝、僕は男の家の前にいた。
少し前までは僕一人で男を待っていた。だが、いまはあの子が、女さんが一緒だ。
なんで女さんが、ここまで男と親しいかというと、昔、男とよく遊んでいたようだ。そして僕と入れ替わるようにして転校。それは仲もいいわけだ。
8:名無しNIPPER
2015/03/21(土) 21:36:32.13 ID:nJPgXTqwO
「ずるいよ…」
「ん、娘ちゃんどしたの?なんか言った?」
「…っへ?あ、ああなんでもないよ、うん」
9:名無しNIPPER
2015/03/21(土) 21:39:18.67 ID:nJPgXTqwO
「わりぃ!待たせた!」
そこから男がでてきて、玄関が閉まり終わる前にそう言った。
男の背後で重ためなドアの閉まる音がする。
10:名無しNIPPER
2015/03/21(土) 21:39:50.09 ID:nJPgXTqwO
「まあ、なんだかんだで何時も学校には間に合ってるし、いいよ、大丈夫」
僕がこうフォローを入れると、男はありがと、といって元のように戻る。いつものことだ。
と、いきなり男が、僕の方に近づいてきた。
11:名無しNIPPER
2015/03/21(土) 21:40:24.94 ID:nJPgXTqwO
別に男はやたらと人の頭を撫でたがる変態さんというわけではない。
ただ、もう話しは終わりだ。行こう、という意味でももたせて、場の空気を変えるためにやったのだろう。
こうでもしないと男と女さんは暫く揉める、というか一方的な女さんの説教が始まる。
12:名無しNIPPER
2015/03/21(土) 21:41:41.54 ID:nJPgXTqwO
しかし、男のそんな作戦も意味などないようで、女さんは男に説教を始めた。歩きながら。
男はそれを半分きいて半分聞き流すような感じで聞く。時折、ハイ、ハイとわざとらしく、いかにも反省してるような声を出す。
僕はその少し後ろを歩いて、二人についていく。
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