過去ログ - 京子「ねえ結衣ー。遺伝子を残せないのってちょっと悲しくない?」
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◆IE4zSaOpSA
[saga]
2015/03/25(水) 23:13:42.77 ID:UIrPVHSj0
〜20:00・マンション〜
インターホンに指を置いたまま、歳納京子はうつむいていた。髪に隠れて顔は見えない。だけど、涙が滴っていることが分かった。
近づいてみたけれど、なんと声を掛ければいいのかが分からない。
私が涙を流した理由を歳納京子は分かってくれなかった。それを悲しいと感じた私が、歳納京子に泣いている理由を問えるはずもない。
掛ける言葉は見つかりそうになくて、私は黙って歳納京子の手に触れた。冷たくて、とても弱々しい手。
京子「綾乃…」
綾乃「なに?」
京子「結衣は……私達の前から、消えたかったのかな」
その言葉の意味が、私には分からなかった。
泣いている理由も、大好きの意味も、今日誘ってくれた本当の理由も、私には何も分からない。私は歳納京子のことが何も分からない。
でも、悲しくてたまらないんだってことは分かる。
なぜだか、次第に私も同じ悲しみを感じ始めた気がした。
気がつけば私は、歳納京子を強く抱き締めていた。
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