4:名無しNIPPER[saga]
2015/03/23(月) 16:10:38.42 ID:kIgC0qSs0
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この部屋には何もない
ただ私と彼女の二人だけがお互いを向いて立っているだけ
彼女は相変わらず何処か絡みつくような笑顔で笑っていて、瞳の焦点はこちらを向いてない
その表情は私を酷く苛つかせる
手にあるのはやっぱり錆びた鋏で、衝動的に私は彼女にそれを入れたくなってしまう
ああ、また私はこの夢で彼女を殺すんだろうな
夢の終わりはいつも心の臓を貫くこと、それで私は目が覚める
でも、今回はなんだか様子がいつもと違う
ただ笑うだけの目の前の自分が、何かをぼそぼそと呟いてる
私はその低く聞き取りづらい声が耳障りで、はやく彼女を貫こうといつもより手に力を強くこめた
刃が奥深くにさしこまれて、彼女の呟きが聞こえなくなったその瞬間、彼女の口の動きを私は見てしまった
『すき』
震える唇は音を発してなかったけれど、言葉だけは紡がれていた
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