過去ログ - 戦艦水鬼「光溢れる水面に、わたしも」
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5:名無しNIPPER[saga]
2015/03/24(火) 13:49:23.08 ID:qsbs6+9v0

 反動で水面が激しく波打ち、海鳥たちを気絶させた。当然敵影もただでは済まない。間一髪で致命傷こそ避けたのだろうが、修験道服は体と艤装をまとめて吹き飛ばしながら倒れこむ。大破ではない。中破だ。

 敵艦隊からの応射――外れる。お返しだ、と戦艦棲姫が呟くのを戦艦水鬼は聞き逃さない。同じ気持ちなのだ、と彼女は思った。昂ぶって昂ぶって仕方がないのだ。

 うらやましくてうらやましくて堪らないのだ。

 突っ込んでゆく。距離が縮まるにつれ、当然弾幕の密度は増える。狭叉射撃、そして誤差を伝える水上観測機が鬱陶しいことこの上ない。
 弾着観測射撃がヲ級を襲う。下半身を吹き飛ばされ、それでも尚倒れることはない。大破しても、生きている。戦いたがっている。

 喉から言葉が溢れるが、それはおう、おう、おうと意味を持たない。言いたいことは、言ってやりたいことは、沢山あったはずなのに。
 ただ、ともすれば鼻先さえ触れ合いそうな距離での射撃戦――そこで初めて、戦艦水鬼は確かに番傘の顔を見た。
 険しさの中に一握の悲しさを湛え、彼女のことを見据えている。



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