過去ログ - 【Lv30】ぱらルカさんが くえルカさんになったようです前章【職業Lv10】
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96: ◆ldFfAbiRv2[saga]
2015/04/13(月) 12:16:45.47 ID:ueeYAoj10
おじさん「ちょ、ちょっと!やめてくれぇ!」

若者「待ってくれ、女王様を斬ろうとしないでくれ!」

ハーピーの家々から飛び出してきた男たちが、僕に思いとどまる様に叫ぶ。
若い青年から老人まで、あちこちの家から駆けよってくると、クイーンハーピーをかばうように間に入った。

それを見た僕は、再びどっかりと地面に腰を下ろし、空を見上げてぼーっとする。
意識の外では、戻ってきた男手たちと襲撃した町の女性たちが言い合っている。
どうやら攫われた男たちは、みんなハーピーと婚姻を結んでいたようだ。

向こうの世界ではあまりにも当たり前の光景過ぎて、何の新鮮味もない。

僕以外の人達は立ち惚けるばかり。
そしてクイーンハーピーは口を開いた。

クイーンハーピー「・・・・・・ハーピーには女しか存在しない以上、繁殖には人間のオスの力を借りるしかないのです」

クイーンハーピー「しかし・・・人間の魔物に対する憎しみが高まっている今、誰がハーピーの婿になど来てくれるでしょうか?」

おばさん「で、でも・・・何も攫わなくたって・・・」

クイーンハーピー「私たちとて、ただ黙って滅びる訳にはいかないのです」
クイーンハーピー「例え無理やりに奪ってでも、男は必要でした」

知識と経験がある僕からすれば、あまりにも当たり前すぎる思考だ。
当然男たちを苦役に処する必要もなく――――

見ればあっちこっちで新しい家族によるもめごとが起きている。
中には非常に深刻そうな表情をしている家族もいる。
男たちを集落から出さないのはハーピーの掟と言っていたが、男の側も帰るに帰れない立場だったようだ。

いつしか、ハーピーとの共存という方向で話はまとまっていく。

アリス「これ以降は、ハピネス村とハーピーの里で解決すべき問題だ」

ルカ「そうだね・・・」

後は、当事者同士の話し合いが望ましい。
ただでさえ徒労だったのだ。これから先の泥沼になど関わりたくない。

ただ―――向こうの世界で当たり前だったことを実現するには、いろいろ大変だということは学んだ。

そして夜遅くまで話し合いは続き―――
友好関係を軸に、ハピネス村とハーピーの里との協定は結ばれた。
それからは、もうお祭り騒ぎだった。

ルカ(ハーピーの側も、事情を説明して男を婿に貰えばよかったのに―――)

なんて口に出せない。婿が来ないからこういうことになったわけで、その最たる原因は―――

ルカ(イリアス信仰なんだよなぁ・・・)

五戒の1つ。「魔と交わるなかれ」
それがこの世界における人間と魔物の友好を阻む、最大の敵だった。

ともかく、この一件は解決したと思いたい。

そして翌朝―――
村一番の鍛冶屋にカスタムソードの強化をお願いして、鍛えてもらった後に僕たちはみんなに見送られて、村を旅立った。
鍛冶代はなんとタダにしてもらった。

おそらく、この世界で人と魔物の信頼が試されるのはこれからだ。
しかし僕は、友好関係が維持されることを確信している。
なぜなら、向こうでは当然の様にあったからだ。
向こうでできて、此方で出来ない道理はない!



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