過去ログ - 佐々木「一つ、お願いがあるんだ」
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136:名無しNIPPER[saga]
2015/03/29(日) 01:38:33.56 ID:IwlMUGAtO
適当に支度を済ませて、いつものように自転車を走らせて駅前に向かう。
駐輪場で空きスペースを探していると、期待したタイミングと寸分の狂いも無く、背後から声をかけられた。
「やあ、キョン」
「うわ」
そう、確かあの時俺は驚いてそう声を漏らしたんだ。待ち焦がれたこの時を噛みしめるように振り返る。
「なんだ、佐々木か」
「なんだとは、とんだご挨拶だ。ずいぶん久しぶりなのに」
不満げな気分を表すように口を尖らせていたが、それとは裏腹にその眼差しは温かいものだった。
「髪、伸びたな」
「いつだったか誰かにそう頼まれたからね」
ポケットからヘアゴムを取り出して口に咥え、手で髪を後ろにまとめてゴムで一つに結ぶ。
「おかえり、佐々木」
「ただいま、キョン。ありがとう」
そう言うと佐々木は俺の胸に飛び込み、顔を密着させてくる。
その頭にはスミレのモチーフが、日の光を反射して鮮やかな紫色を煌めかせていた。
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