過去ログ - 佐々木「一つ、お願いがあるんだ」
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70:名無しNIPPER[saga]
2015/03/28(土) 23:13:49.06 ID:jVBRPo/YO
俺がそいつと交友関係を持ち始めた切っ掛けは、中三の時に通い始めた塾で同じクラスだったことだ。
以来、俺は佐々木と塾への道程を供にするようになり、必然的に学校でもよく喋る仲になった。
佐々木は不思議な魅力のある人間だった。
決して内向的という訳ではないが、感情を曝け出すことはせずにいつだって理路整然としている。
それでいて誰よりも様々なものに興味を抱いて、それを静かに追求している、そんな奴だった。
佐々木の話はいつだって刺激的だった。
その頃から俺は朴念仁だとよく言われていたし、正直あまり良い聞き手ではなかったと思う。
それでもあいつはそんな俺の性質を理解し、逆にそれを好ましいと言ってくれた。
だから俺もあいつのことを誰よりも理解しようと努めていた。
だが恋愛感情はノイズだというあいつのそのセリフに、胸の内では靄を抱えていた。
何故なら俺の中に、あいつに惹かれ始める気持ちがあったからだ。
しかし、それ以上にあいつに失望されることを、その他大勢と同じに思われることを、恐れていた。
だから俺はそんな想いを心の奥底に閉じ込め、そのせいか卒業してからも俺から連絡することは無かった。
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