過去ログ - 櫻子「めぐみの雨と、恋で咲く花」
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15:名無しNIPPER[sage]
2015/03/30(月) 17:34:41.23 ID:JxUSEnW0o
このまま撫子からの感情のないメールを見てしまったら、いよいよ涙は止まらなくなってしまうだろう。諦めて携帯をロックし、ポケットにしまい、泣いていることをごまかすように空を見上げた。


本当に雨が降ってくれればいい。

恵みの雨が降りそそいで、この桜の木がもっともっと大きく育って、春が来たら今までより立派で鮮やかな桜を咲かせてくれればいい。

全てを締めくくったキスシーンを綺麗に飾って、現実とは思えないくらい美しく飾って、思い出として昇華してしまえるくらいに。


撫子のことを、忘れないといけない。

撫子のことを、諦めないといけない。


別れてから何度も向きあってきたこの事実に、受け入れられませんとでも言うようにして、心の底のもう一人の私が勝手に涙を押し出してくる。


その大粒の涙を手で拭って、桜の木にたらした。

私の悲しみを取り込んで、来年の春、真っ白な桜を咲かせてよ。


透明なしずくが指をつたって、根元の地面に着地したのと同時に、後ろから肩を叩かれた。



驚いて振り返ると、そこには、



撫子が、いた。


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