過去ログ - 櫻子「めぐみの雨と、恋で咲く花」
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29:名無しNIPPER[sage]
2015/03/30(月) 17:42:17.07 ID:JxUSEnW0o
くるくると面白いウェーブのかかった櫻子の髪を、怒りを鎮めるようにしてしばらく撫でていると、今度は対照的に悲しみに満ちた声で私に話してきた。


「めぐみねーちゃんはどうしたいの……? このままでいいの?」

「!」


「会えない撫子ねーちゃんのことで泣いたりして、気持ちも伝えないままでいいの!?」

「…………」


「好きなんでしょ!! ねーちゃんのことが!!」


―――好き。

撫子のことが好き。


それを伝える?


何かが引っかかった。


「好き……だけど」

「だ、だけど……?」


まったくもって櫻子の言うとおりだった。こんなになるまで撫子のことが好きなら、一応つながる電話でもメールでも使ってその想いを伝えればいいのだし、一口に会えないといったって住所はわかっているのだから、電車を乗り継いで辿り着くことは不可能ではないのだ。それはわかっていた。


なぜ自分はそれをしなかったのか?


それは、撫子を思ってのことだった。



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