過去ログ - 櫻子「めぐみの雨と、恋で咲く花」
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42:名無しNIPPER[sage]
2015/03/30(月) 17:49:58.63 ID:JxUSEnW0o
「受験が始まった、高三の夏ぐらいから感じてた寂しさ。みんなと違う道を進むことになる寂しさ。受け入れたくないけど、絶対にやってきてしまう別れ。それを一人で受け止めきれなくて、私はいつまでも引きずって悲しんでた……」
「でもね、櫻子ちゃんと一緒にいたら、その寂しさがだんだん無くなってきたの」
「なっ……」
「新しい世界に歩いて行けてないの、私だけだったと思う。でも最近は、みんなと同じように割り切って、新しい自分に向かえてる気がする」
「撫子は最初から、そうあってほしくて私を振ったんだと思うの。あれは別れのキスだったんじゃない、私を送り出してくれるキス……」
「撫子の存在は大きすぎたから、ぽっかり穴があいた気持ちがしてたけど……そこに櫻子ちゃんの優しさが入ってきてくれて、私は最近、元気になれてる」
「撫子が望んだ私に、なれてる気がするんだよ」
夕暮れの道では今日も、ヒグラシが鳴いていた。
遠くの空の赤すぎる夕日を見ていると、みんなで一緒に遊んでいた高校時代の放課後を思い出す。
「いい思い出だった」と、今ではそんな考えができるようになったのだ。
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